人参の色の違いって何?
更新日:2019/12/10
ニンジンの色って色々あるけど、何が違うんだろう?
都市圏のスーパーで売っている人参は、オレンジ色の人参が殆どだ。
しかし京都を始めとする関西では、真っ赤で細長い金時人参も手に入る。
紫色をした紫ニンジンや黒ニンジンもあるし、沖縄の島ニンジンは黄色い。
中には白いニンジンもあったりして、ニンジンの色の違いって、どこからくるのか不思議だ。
人参の原産地は、アフガニスタン
ニンジンの原産地は、中近東のアフガニスタンだという。
そこからヨーロッパに伝わったのが西洋人参で、東南アジアや中国に伝わったのが東洋人参だ。
ニンジンには、細長い長根種と、短くて太い短根種の二つに分類できるが、ヨーロッパでは短根種が栽培され、東南アジアでは長根種が栽培されるようになったらしい。
またニンジンの原色は、紫色や白だったという。
我々がよく知るオレンジ色や赤色のニンジンは、品種改良によって生まれて固定されたもので、その品種改良の方向が、西洋と東洋で違っていたってことらしい。
五寸ニンジンの色は、カロテン
スーパーで一番よく目にするのが、オレンジ色の「五寸ニンジン」だ。
一寸(いっすん)はおよそ3センチなので、五寸ニンジンは15センチくらいの大きさのニンジンということになる。
五寸ニンジンは、明治時代にフランスから導入されたニンジンを品種改良した短根種だ。
オレンジニンジンは、主にオランダで品種改良されてヨーロッパ全域に広まったもので、オレンジ色の正体はベータ・カロテン(βカロテン)だ。
ベータ・カロテンは「プロビタミンA」と呼ばれる前駆物質で、人の体内でビタミンAに転換されて利用される。
金時人参の色は、リコペン
金時人参(きんときにんじん)は、京人参とも呼ばれ、主に西日本で栽培されている。
戦国時代に中国から西日本に伝わった東洋系人参で、長根種だ。
長根種は、長さが40-50センチにも成るため、畑に大きな畝(うね)を作らないといけない。
また種まきも春に播くと美味く育たず、夏播きが主なので栽培期間が限られている。
一方、五寸ジンジン(西洋人参)は、欧米で様々な品種が誕生し、春播き用の品種もあるため、ほぼ年中栽培できる。
そのため、金時ニンジンは五寸人参にどんどんシェアを奪われ、現在に至っている。
金時人参の赤い色は、トマトの赤色成分と同じ「リコペン」(リコピン)で、抗酸化作用があるとされている。
リコペンはカロテンの仲間だが、ビタミンAには転換されない。
また体内でビタミンAに転換されるβカロテンは、金時ニンジンには殆ど含まれていない。
紫ニンジン、黒ニンジンの色は、アントシアニン
紫ニンジンや黒ニンジンも、長根種だ。
この紫色や黒色は、アントシアニンという成分だ。
アントシアニンはカロテノイドではなく、フラボノイド(ポリフェノール)の一種で、抗酸化作用があるとされる。
ただアントシアニンは、黒っぽい食品や紫色の食品にはたいてい含まれているため、特に紫ニンジンや黒ニンジンを食べなくても摂れる。
黒ごまや茄子、ブルーベリーやプルーン、カシスやクランベリー、赤ワインなどにも含まれているし。