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輸入牛肉は、なぜマズかったのか。

更新日:

成型肉とは、肉に手を加えた加工肉のことだ。

 

牛肉の加工では、結着剤を使って、何枚かの肉をステーキのような形に成型して売るという方法があった。

 

ファミリーレストランなどでは、こういう貼り合わせた加工牛肉を焼いて、格安ステーキとしてメニューに載せていた。

 

ただし結着剤には、食品アレルギーを起こす可能性がある成分が含まれていて、問題になっていた。

 

そこで最近は、安いが硬いオーストラリア産の赤身牛肉に、国産和牛の牛脂と調味料を注入した、「牛脂注入肉」がたくさん出回っている。

 

これはインジェクション加工という技術だが、脂肪分が殆ど無い硬い赤身肉に、100本前後の注射針で、牛脂と調味料を注入して「人工霜降り肉」を作る方法だ。

 

牛脂を注入したあとは、それを固定させるため、一旦冷凍しなければならないので、生肉の状態では多少黒っぽくなるが、焼いて食べると和牛ステーキと似た味になる。

 

こういう風に加工する理由には、実は輸入肉の輸送方法もあった。

 

というのも輸入肉は冷凍して運ばれていたので、味があまり良くなかったからだ。

 

冷凍牛肉は「フローズン・ビーフ」と呼ばれるが、牛を屠畜して枝肉にしたあと、すぐに冷凍してしまう。

 

しかし実は肉の旨みというのは、すぐに冷凍してしまうと出てこないのだ。

 

牛肉は、枝肉にした後、0度~5度くらいの温度で、1週間以上熟成させて初めて、旨みが出てくるため、熟成させずに冷凍すると、味がない。

 

なので牛脂注入肉などという「加工」が必要だったというわけだ。

 


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チルドビーフ 牛肉を熟成させながら運ぶから旨い

輸入牛肉は、現在、3種類の方法で運ばれている。

 

それが

  • 冷凍牛肉(フローズン・ビーフ)
  • 冷蔵牛肉(チルド・ビーフ)
  • 熟成冷凍牛肉(エイジド・ビーフ)
と言う方法だ。

 

牛肉輸出が始まった当初は、安く大量輸送するための方法は、冷凍して運ぶしか選択肢がなかった。

 

オーストラリアから日本に牛肉を運ぶには、船便で30日前後の日数が必要だったし、米国から日本に牛肉を運ぶ場合も、船便で11日~30日程度かかった。

 

そのため1年以上の長期保存が可能な冷凍輸送しか選べなかったのだ。

 

しかもフローズン・ビーフは、肉を熟成させる前に冷凍するし、解凍の際に旨みがドリップしてしまうので、あまり旨くなかった。

 

これが輸入牛肉の味が悪かった一つの原因だ。

 

ところがオーストラリアで、チルド輸送の技術が開発され、枝肉を、マイナス1度前後の低温で、凍らせないようにしつつ、熟成させながら運べるようになった。

 

マイナス1度では熟成が遅くなり、30日程度で食べ頃になるため、輸送にかかる日数を熟成に充てた格好だ。

 

こうして旨みを持たせた輸入牛肉を、「チルド・ビーフ」と呼ぶ。

 

チルドビーフは味が良いので、日本では牛肉の多くを、オーストラリアから輸入するようになった。

 

一方、日本への輸出増を狙っていたアメリカも、チルドビーフの技術を研究して、日本市場でのシェアを半分まで増やしてきた。

 


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