三圃式(さんぼしき)農業と豚肉生産

三圃式(さんぼしき)農業と豚肉生産

三圃式農業と豚肉生産

豚肉は、今やなくてはならない食材だ。

 

これはもちろん、中国や欧米でも同じだが、しかし豚肉の食べ方は、かなり違うという。

 

というのも欧米では、豚肉というのは、ハムやソーセージ、ベーコンに加工して食べるものであって、保存食に位置づけられていたからだ。

 

ヨーロッパの農業は「有畜農業」で、家畜を飼いながら穀物栽培も行う。

 

しかし冬になると豚のエサがなくなるため、ハムやソーセージ、ベーコンなどに加工して、それを食べていたわけだ。

 

ヨーロッパの農業をもう少し詳しく書くと、中世ヨーロッパでは、圃場(ほじょう:耕作地)を大まかに三つに分けて作物を栽培していた。

 

圃場Iでは、冬穀(秋蒔き小麦・北部ではライ麦)を栽培、圃場IIでは、夏穀(春蒔き大麦・燕麦・豆)を栽培、圃場IIIでは、家畜の放牧(休耕地)を行った。

 

そして作物の収穫が終わると、違う作物を栽培したり、家畜を放して放牧地にした。

 

こういう農業を三圃式(さんぼしき)農業と呼ぶが、ヨーロッパ各地で似たような方法が行われていた。

 

というのもヨーロッパの殆どは雨が少なく、2シーズン穀物を栽培すると、土地から水分やミネラルが奪われたからだ。

 

土地から水分やミネラルが失われると、作物がうまく育たなくなる。

 

これを「連作障害」と呼ぶのだが、連作障害を避けて作物生産を行うために、編み出されたのがこの三圃式農業というヤツだ。

 


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輪栽式(りんさいしき)農業と豚肉生産

かつてヨーロッパの農業は、家畜を飼うことが前提の農業だった。

 

牛や山羊、鶏と言った家畜は、主に草を食べて成長するので、人間と食べ物が被らない。

 

そのため収穫の終わった耕地に放し、雑草で育てることができる。

 

牛や山羊、鶏などは、乳や卵を利用することができるし、糞は地力の回復に役立った。

 

さらにいざとなったら、肉にして食べることもできるので、家畜はライブストック(livestock:生きてる蓄え)と呼ばれた。

 

ところが豚だけは、ちょっと違う。

 

豚を飼う目的は肉だし、エサも草ではなく穀物だ。

 

豚のエサは人間の食べものと被るため、あまりたくさん飼うことができない。

 

なので秋になると種豚だけを残して、あとは屠畜(とちく)して肉にした。

 

秋にはドングリもたくさんできるので、それを食べさせて太らせたあと、豚を殺して肉にしたわけだ。

 

ただ、冷蔵庫もない時代だから、屠畜した後の豚肉は加工して、塩漬けにしたり燻製することで、ハムやソーセージ、ベーコンにした。

 

これはアメリカ大陸から、ジャガイモやトウモロコシなど、新作物がもたらされたあとも続いた。

 

というのも畜産に関しても、いろんな新発見があって、家畜をたくさん飼えるようになったからだ。

 

たとえばクローバーやウマゴヤシなどマメ科の牧草で家畜が太ることが分かった。

 

クローバーやウマゴヤシの根粒菌は、空気中の窒素を栄養にできるため、土地も肥えるし家畜も肥えた。

 

またカブなどの中耕作物(深めに耕して栽培する作物)も、家畜のエサできることが分かった。

 

大麦→クローバー→小麦→カブ(またはジャガイモ)…という順で栽培すれば地力が落ちず、家畜のエサもたくさん生産出来るようになった。

 

そこで放牧を止めて、家畜専用の小屋を建てて、たくさんの家畜を飼い始めた(舎飼いという)。

 

これがイングランドのノーフォーク農法(ノーフォークローテーション/輪栽式農業)だが、似たような方法がヨーロッパ各地に拡がり、農産物と畜産物の生産力が、爆発的に増えた。

 


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