町中華のチャーハン あの旨さの秘密は何?
更新日:2019/11/04
町中華(まちちゅうか)とは、昭和の時代からある街の中華料理店の料理のことだ。
ラーメン、チャーハン、餃子、鶏の唐揚げ、天津飯、酢豚、といった、日本の中華料理でおなじみのメニューを出す個人経営の小さな中華料理屋だ。
町中華のメニューは今や普通の家庭で作って食べれるように、レトルトの調味料もたくさんでていて、本格的な味の一端を再現できるように放っている。
ところが、どうしても町中華の味の再現が難しいメニューがある。
それが「町中華のチャーハン」だ。
町中華のチャーハンと言えば、昭和のお金儲けの神様、故・邱永漢(きゅうえいかん)さんが「醤油味の不味いスープがついてくるが、それをガマンしてかきこむ」なんて書いていたが、それでも食べていたわけだから、それなりの旨さあったのかもしれない。
町中華のチャーハンは、とびっきり美味しいわけでもないのだけれど、それでも不思議な魅力を秘めたチャーハンだ。
あの味は、一体どこから来るんだろう。
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美味しいチャーハンの味のポイントとは
邱永漢先生によると、美味しいチャーハンのポイントは、
- 米粒の大きさが揃っている
- 一粒一粒がバラバラでくっついていない
- 一粒一粒に卵の黄味がよくしみていて、外見は黄色だが中身は白い
だということだ。
現代では、米粒の大きさが揃っているのは当たり前なので、これは今は気にしなくても良いだろう。
昭和の頃には小さな粒があったり、砕米(さいまい)やくず米も混じっていたりして、それがよくなかったらしい。
砕米というのは、精米過程で出てくる砕けた米粒のことだが、小鳥のエサや家畜のエサに混ぜたりする。
今でも安すぎる米には、くず米や砕米が混ざっていたりして、たまに問題になったりするね。
チャーハンをパラパラにするには、米を硬めに炊く
二つ目の「チャーハンのパラパラ」は、家庭で作るチャーハンでは大きな問題だ。
町中華のチャーハンはパラパラしているが、一体どうすればああいう風にパラパラに出来るのか。
これはもうズバリ、「米を硬めに炊くしかない」らしい。
家庭のコンロでは、火力が足りないからダメなんだと言われることも多い。
しかし中華料理店のコックさんの話によると、チャーハン用のご飯は、そもそも水分量を1割か2割減らして米を炊いているのだという。
家庭のチャーハンがべちゃべちゃになってしまうのは、元々水分量が多い米飯を使うからで、ここがまず根本的にダメなんだという。
そう言えば確かに、中華料理店でベチャベチャの米飯が出てくることは、滅多にないかもね。
なので、家庭でチャーハンを作る場合は、あらかじめ水分量を減らして米を炊くか、炊いた米を先に乾煎りでもして、水分を飛ばしてから調理しないといけない。
まあそんな面倒なことをして家でチャーハンは作れないが、カレーなども硬めの米の方が良いから、硬めに炊く日を決めておいても良いかもね。
また、米がひっつきにくくするためには、油を入れるタイミングも重要で、しっかりと中華鍋や鉄製のフライパンを加熱して煙が上がってから、油を入れて拡げないと行けない。
一方、卵を米粒にまとわせるには、溶き卵をフライパンに入れた後すぐに米飯を入れてかき混ぜるか、あらかじめ溶き卵にご飯を混ぜたモノを使うかという方法がある。
この辺は、料理の腕の善し悪しもあるので、色々やってみて試せば良いと思う。
チャーハンに使う油は、唐揚げ後の揚げ油?
町中華のチャーハンは、なぜ美味いのか。
町中華のチャーハンでは、鉄製の中華鍋を使い、味の素を入れたり、最後に鍋肌に醤油を垂らして旨みを出す。
鉄鍋には鉄ならでの味が出て、テフロン加工のフライパンでは出ない味があるという。
ただ味の素の味は、昆布だし(グルタミン酸)だし、焦げ醤油の味はよく知っている味で、家庭ですぐに再現できる味だから、町中華のチャーハンを再現するのは、そんなに難しくは無さそうだ。
しかしそれでは、ゴールにはたどり着けない。
というのも実は、町中華のあの味には、別の秘密があるという。
というのも家庭でチャーハンを作るときに使う油は、植物性のサラダ油を使うことが多いが、それではチャーハンの味に深みが出ない。
そこで牛脂やラードなどを使ってチャーハンを作るのだが、まだ味が足りないらしい。
では町中華ではどういう油を使っているのかというと、「鶏の唐揚げなどを揚げた後の油」を使っているらしい。
鶏の脂のことを「鶏油(チーユ)」と呼ぶが、それが唐揚げの後の油には含まれているらしい。
唐揚げを揚げた後の油には、鶏皮の旨みが染み出ていたりして、それが町中華のチャーハンに旨みをプラスしてくれるのだという。
町中華のチャーハン 作り方動画
チャーハンの作り方のコツ まとめ
- チャーハンに使うご飯は、水分量を減らして炊いたモノを使う。
- 鉄製の中華鍋か鉄製フライパンを使い、しっかり加熱してから油を引く。
- 油は牛脂やラードが良く、鶏油(ちーゆ)や唐揚げを揚げた後の油があれば尚良い。
- 溶き卵を入れたら、すぐにご飯も追加して、よく混ぜる。
- 最後に鍋肌に鶏油(ちーゆ)や醤油を垂らして焦がし、風味をつける。