ジンギスカンと羊肉料理
更新日:2019/08/13
ジンギスカン鍋は、羊の肉を専用鍋で野菜と一緒に焼いて食べる羊肉焼き肉だ。
ジンギスカン(チンギス・ハン)と言えば、モンゴルの遊牧民をまとめ上げ、中国から中央アジア、イラン、東ヨーロッパまでにまたがる大モンゴル帝国を作り上げた皇帝の名前だ。
だからジンギスカンもモンゴル料理かと思いきや、実は日本発祥の料理だという。
もちろん羊は太古の昔から世界で飼われている家畜だし、羊肉も地中海沿岸から中央アジア、中国北部まで、広い範囲で食べられている。
だからジンギスカンに似た食べ方もありそうなんだが、羊肉は、柔らかい部分はロースト(あぶり焼き)や串焼きにし、硬い部分はシチューなどの煮込みにすることが多いようだ。
日本のジンギスカンのように、薄切りにした肉を、鉄鍋で焼いて食べるような食べ方はしないモノらしい。
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羊肉と羊肉料理
羊肉には、ラムとかマトンと言った種類がある。
ラムは臭みが少なく、軟らかいと言われる。
マトンはラム肉よりも硬めで、獣臭さが嫌われると言う。
このラムとかマトンとかいうのは、品種の違いではない。
羊を屠畜(とちく)して肉にするときの、羊の年齢によって分けられている。
ラム肉は主に生後1年以内の子羊の肉のことで、マトンは生後2年以上の羊の肉を指す。
ニワトリで言えば、若鶏にあたるのがラムで、成鶏にあたるのがマトンになる。
ただしこれは日本で流通している羊肉の話で、実はこの間に「ホゲット」という段階もある。
羊肉の種類
羊は群れで飼うため年齢が分かりにくいので、門歯の数で年齢を推定する。
- ラム(Lamb) … 永久門歯が生える前の羊、およそ生後12か月未満
- ホゲット(hogget) … 永久門歯が1-2本生えている羊
- マトン(mutton) … 永久門歯が2本より多い羊
ジンギスカンの名前の由来
ジンギスカン鍋の起源には、様々な説がある。
日本では、明治時代に羊毛生産のために全国5カ所で緬羊(めんよう)を飼い始めた。
それと同時に、羊肉料理もあちこちで生まれた。
「ジンギスカン鍋」とか「ジンギスカン料理」と呼ばれ始めたのにも、諸説ある。
一説には、昭和10年頃、東京の杉並にできた専門店の店主が、モンゴル帝国のチンギス・ハンの大ファンだったらしい。
そのため、店の名前を「成吉思荘(じんぎすそう)」として、羊肉の焼き肉料理をジンギスカンの食べた鍋として大々的に売り出したため、ジンギスカンという名前が定着したという。
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ジンギスカン鍋の形の由来
ジンギスカンに使われるジンギスカン鍋は、中央が盛り上がって穴が空いている、変わった形の鍋だ。
この鍋は、中央の高くなったところで肉を焼き、周辺で野菜を焼くという形になっている。
なぜこういう鍋を使うかというと、羊肉独特の臭いが油と共に落ちるかららしい。
あぶり焼きや串焼きの場合は、自然に油が下に落ちて臭みが抜けるが、平らな鍋で焼くと臭みが残る。
そのため、中央部が盛り上がった鉄鍋で、油を落としながら焼くことができるジンギスカン鍋が開発されたらしい。
ラム肉はなぜ丸い?
ジンギスカン料理屋では、丸い薄切りのラム肉が出てくることも多い。
このラム肉を、ラムロールのスライスという。
これは、屠畜(とちく)してバラしたラム肉を、ハムや焼豚のように丸めて冷凍して「ラムロール」として保存するからだ。
このラムロールをスライスして、ジンギスカンや羊肉しゃぶしゃぶ用に使うわけだ。
一方、あぶり焼きにして食べる場合は、ラムチョップと呼ばれる骨付きのラム肉が使われる。