モツ、ホルモン
更新日:2019/08/28
「モツ」や「ホルモン」などと呼ばれる内臓肉は、スーパーでは生の状態では売られていない。
ハラミやサガリなど、焼き肉屋で人気の部位も、日本では生でスーパーに並ぶことはない。
というのもハラミやサガリは内臓肉に分類されており、内臓肉独特の処理が必要だからだ。
内臓肉はあまり高く売れない上、面倒な処理や処理施設が必要だから、焼き肉屋にはあってもスーパーにはないのだ。
ではなぜ内臓肉は、普通の肉と扱いが異なるのか。
それには、次のような理由がある。
内臓肉の特徴
- 死後硬直がなく、腐敗が速く、保存しにくい
- 消化管に住む細菌が付着して、繁殖しやすい
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普通の肉と内臓肉の違いとは
内臓肉は、特別な処理が必要な食品だが、普通の肉と何が違うのか。
我々がスーパーで買って食べている「赤い肉」というのは、牛や豚や羊の「骨格筋(筋肉)」にあたる。
骨格筋とは、身体を物理的に支えている筋肉のことで、硬いし死後硬直も起こす。
なので野生の肉食動物は、捕らえた草食動物の筋肉を食べず、まず内臓から食べ始めるという。
骨格筋が柔らかくなるのは死後2~3日後で、野生の動物は、その頃に「腐りかけの肉」を食べる。
食肉の場合は、腐らせるわけにも行かないので、冷蔵庫で2~3週間かけてゆっくり「熟成」させる。
熟成とは、実は筋肉組織の崩壊のことで、温度が高いほど速く進むが、同時に腐りやすくなるので、時間を掛けて熟成させるワケだね。
一方、内臓も筋肉だが平滑筋(へいかつきん)というタイプの筋肉だ。
死後硬直は、ミオシンやアクチンが結合して起こるが、平滑筋はアクチンやミオシンが少ないので、死後硬直を起こさず、柔らかいままなのだ。
また内臓肉は、骨格筋のように筋膜(きんまく)という膜で覆われておらず、直接外気に接している。
そのため様々な細菌が繁殖しやすい。
動物の消化管には、様々な細菌が棲みついていて、有害菌もいるので注意が必要だ。
モツ、ホルモンの種類
焼き肉屋では新鮮な内臓肉を手に入れて、メニューに加えている。
内臓肉は、ロースやカルビなどの赤い肉とは違った食感も楽しめるため、メニューのバリエーションに加えたいらしい。
ロースとカルビ、ハラミとサガリだけでは、さすがに飽きるしね。
また内臓肉は、面倒な下処理が必要でも、安く仕入れることが出来るため、相対的に利幅を大きく取れるし。
モツ、ホルモン (胃や腸)
- モツ、ホルモン … 小腸。こてっちゃん、コプチャン、マルチョウとも言う。
- テッチャン … 大腸。シマチョウとも言う。
- ミノ … 牛の第一胃
- ハチノス … 牛の第二胃
- センマイ … 牛の第三胃
- ギアラ、赤センマイ … 牛の第四胃
- ガツ … 豚の胃
胃腸以外の内臓肉
- ハラミ、サガリ … 横隔膜
- ハツ … 心臓
- レバー … 肝臓
- 砂肝 … 鶏の肝臓