餃子と焼売、そしてワンタンは、何が違うのか
更新日:2019/11/04
餃子と焼売は、挽肉を小麦粉で作った皮で包んだ料理だ。
それなのに、餃子と焼売の人気や扱いは、かなり違う。
たとえば餃子は家庭で作ることも多いが、焼売を作る家庭は少数派だろう。
さらにワンタンも挽肉を小麦粉の皮で包んだものだが、一体何が違うのか。
似たような材料を、似たような感じで作っているだけのように見えるが、違いは何か。
違いが無くて形状の違いだけだったら、餃子の餡を焼売の皮で作れば焼売になるのか。
餃子の餡をワンタンの皮で包めば、ワンタンになるのか。
こういう風に、いろいろ疑問が湧いてくるね。
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餃子の皮 焼売の皮 ワンタンの皮 何が違う?
餃子や焼売、ワンタンなどを食べて、一番最初に舌に触れるのは、それぞれの皮だろう。
最初の食感の違いは、この皮の違いだと考えられる。
この皮は皆、小麦粉から出来ているわけだが、使われる粉の種類がまず違うという。
日本では、小麦粉はまず「薄力粉」「強力粉」「中力粉」という3つに分類される。
この違いは、タンパク質の割合と、グルテンによって区別される。
タンパク質が多い強力粉は、パンや麺に使われる。
タンパク質が少ない薄力粉は、ケーキや菓子、天ぷらなどに使われる。
餃子、焼売、雲呑は、小麦粉の種類や厚さが違う
小麦粉は、含まれるタンパク質の量などによって、次のように分類される。
小麦粉の種類と用途のまとめ
成分 | 小麦粉の用途 | |
---|---|---|
薄力粉(はくりきこ) | タンパク質が、8.5%以下。サクッとした食感 | ケーキ、菓子、天ぷら、卵と合わせて生パスタ |
中力粉(ちゅうりきこ) | タンパク質が、9%前後。うどん粉とも呼ばれる | うどん、焼き餃子の皮、焼売の皮、雲呑の皮、お好み焼き、タコ焼き |
強力粉(きょうりきこ) | タンパク質が、12%以上。もっちりした食感 | パン、中華麺、水餃子の皮 |
浮き粉(うきこ) | 小麦粉からグルテンを取り除いた残り | 和菓子、蒸し餃子の皮、明石焼き |
全粒粉(ぜんりゅうふん) | 胚乳、胚芽、表皮などを全て粉にしたモノ。食物繊維が多くミネラル分も多い。 | ビスケット、シリアル 全粒粉のパン。 |
デュラム粉、セモリナ粉 | タンパク質は強力粉より多いが、グルテンが少ない | 乾燥パスタ |
焼き餃子や焼売の皮として使われるのは、中力粉だ。
中力粉の原料小麦は生産量が少ないため、高いし分量が確保できない。
そのため大量生産するメーカーなどは、薄力粉と強力粉をブレンドしてグルテンの量を調整して使うことが多い。
焼くと皮が破れるリスクが大きいので、焼き餃子の皮は厚めになっている。
焼売の場合は、蒸すのが前提なので、皮は薄めに作られている。
雲呑の皮には、かん水が使われている
一方、水餃子に使われるのは、パンなどに使われる強力粉だそうだ。
強力粉は、茹でるともっちりするため、もっちり感が欲しい水餃子の皮に使われる。
同じもっちり感でも、雲呑はノド通りを良くするため、「かん水」と呼ばれるアルカリ性の液体を中力粉に加えて皮を作っている。
餃子や焼売の皮が白っぽいのに、雲呑用の皮が黄色っぽいのは、かん水を使っているからで、うどん麺とラーメンの麺の違いと同じだね。
また、町中華では滅多に見ない「蒸し餃子」には、浮き粉とよばれるタンパク質量が少ない小麦粉が使われる。
蒸し餃子は、皮が破れるリスクが少ないため、うすく透き通る浮き粉で皮を作るようだ。
海老などが透けて見える海老餃子は、和菓子にも使われる浮き粉の皮で包んでいたんだね。