ICタグは万能ではない
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ローソンなどで始まった無人店舗や無人レジの実証実験。
これは無人レジと言うより、無人店舗システムの実験らしい。
システム開発はパナソニックで、当初は専用の買い物カゴに、小型のバーコードリーダーが組み込まれるタイプだった。
お客さんが商品をカゴに入れる際に、いちいちバーコードを買い物カゴに読み込ませる。
つまり、お客さんが自分でレジに商品登録を代行するわけで、さすがにこれは面倒だった。
なので一年後には、商品全てにICタグを貼り付けて、それを最後に買い物カゴ丸ごとスキャンして、代金を計算する方式に変更された。
買いたい商品をドンドン買い物カゴに入れて、それを最後に機会に読み取らせる方式だ。
新型レジロボ ICタグを使った無人レジ動画
この紹介動画を見ると、なんかもう問題はほとんど無さそうに見えるが、そうでもない。
というのもICタグ方式は、問題点が色々あって、解決していない問題もまだまだ多い。
まず商品全部にICタグを付けねばならないため、コストが掛かると言うこと。
政府は2025年までに、国内で生産する全製品にICタグを付け、さらにそれを世界標準にしようと図っているが、生鮮食品や量り売り食品は、店舗でタグを付ける必要がある。
また、バスケットを丸ごとスキャンする方法では、スキャン漏れが生じやすく、合法的な万引きも可能になること。
ICタグは、タグに電波を当てることで情報を出すため、電波があたらないような素材でICタグをくるんでしまえば、読み取れないのだ。
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商品のスキャン漏れ(レジのカラ打ち)問題は、セルフレジ開発当初から、いろいろと問題になってきた。
そのためセルフレジでは、チェック前の買い物カゴの重量と、チェック後の重量を量って、スキャンし忘れがないかをチェックする仕組みを入れている。
また、お客さんが商品登録している様子を撮影して、それをモニター画面に表示することで、万引きを牽制する仕組みも導入している。
なのでICタグによるバスケット方式が、どこまで万引き対策できているかは、大きな問題だ。
変な話、高価で軽い商品のICタグを引きちぎってしまえば、万引きできてしまうわけだし。
また重量でチェックするにしても、増量セールや、おまけが付いた商品の扱いもあるので、ICバスケット方式も楽ではない。
さらに、ICタグ自体の問題もたくさんある。
まずICタグは、電波を当てると誘導電力が発生する仕組みなので、電子レンジにかけると発熱してしまう。
つまりコンビニ弁当を温めようとしたら、発火してしまうリスクがあるらしい。
またICタグの付いたパッケージをゴミとして出す場合、家庭ゴミをスキャンすれば、購買品目や数量が分かってしまうため、他人に経済状況やプライバシーが丸見えになってしまうのも大きな問題だ。
そのため、無人コンビニを既にスタートしている企業では、ICタグはベストソリューションではなく、補助的なモノとして捉えているようだ。
一方、Amazonの従業員を相手に実証実験を行っているAmazonGOの場合は、ICタグを全く使わず、お客さんの店内での行動を全て画像で記録して、何をどれだけ買ったかを判断する仕組みを開発中だ。
これは、入り口でクレジットカード連動型の身分証を読み込ませて、あとは顔認証システムで、何をどれだけ買ったかを判断するということらしい。
アマゾンゴーの紹介動画
AmazonGOの凄いところは、無人レジどころか、レジもないと言うところだ。
商品チェックも、レジ打ちも必要無いし、決済も全部自動なので、本当に機械の設置と保守だけ。
商品の補充も、現在は人がやっているのだろうが、それもそのうちロボットでやるんだろうな。
もちろん、これが繁盛するかどうかは微妙だけれど、一つの方向性としては、こういうお店も増えるんだろう。