牛乳が有害である根拠は?
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牛乳やヨーグルトは、デイリー部門の食品だ。
デイリーというのは、スーパーに毎日配達されてくる食品で、青果や鮮魚、精肉以外のパンやケーキや豆腐などといった賞味期限が短めの食品だ。
なので20年ほど前は、どのスーパーに行っても、牛乳は大量に陳列されていたし、様々な種類の牛乳が売られていた。
しかし最近の牛乳売り場は、なんだか非常に寂しい限りで、スペースもあまり広く取っていない。
もともと牛乳は、子供が飲んだり、菓子作りに使われるモノだから、少子高齢化が進む日本では、消費量が減るのは当たり前だろう。
かつては安売りの目玉商品として、よく安売りされていた牛乳も、最近は殆ど集客力が無いのかな。
また最近は牛乳有害説というのもあって、特に積極的に飲むものではないという雰囲気もあるのかも知れない。
因みに牛乳有害説を唱えているのは、どこかのお医者さんのようだけれど、かなり怪しい説のようだ。
というのも牛乳は下痢するからダメとか、牛乳は骨が弱くなるからダメとか、えらく短絡的な主張でビックリする。
私も一時期、大学の図書館で、栄養学の本を読みあさっていたので、多少なりとも知識はあるのだが、一栄養素や一食品で、全てが決まるわけではない。
医者だから身体のことは、なんでも知っていると思うのは、世間一般の文系人間の幻想だ。
栄養学に一番詳しいのは、身体作りに異様な執念を抱いていて、自分の身体で実験を繰り返している熱心なボディビルダー達だと私は思ってる。
そこで身体作りに情熱を燃やすボディビルダー達が、牛乳有害説に対してどう考えているのか、色々検索して調べて見たところ、とあるボディビルダーが挙げていたのが、次の三つのデメリットだった。
とあるボディビルダー氏が指摘する牛乳のデメリット
- 牛乳にはマグネシウムが少ない
- ガラクトース血症の人は牛乳で白内障を起こしやすい
- 牛乳に含まれるαカゼインは、アレルギーを引き起こしやすい
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カルシウム・パラドクス
とあるボディビルダー氏が指摘する牛乳のデメリット【1】は、マグネシウムが少ないってことだった。
牛乳にはカルシウムが多いが、マグネシウムが少ないので、「骨が弱くなる可能性がある」。
というのもカルシウムとマグネシウムは実は「拮抗関係ミネラル」で、同じレセプター(受け取り口)を取り合いしているミネラルなのだ。
そのため、カルシウムばかり多い牛乳だけでは、カルシウムばかり吸収してしまい、カルマグバランス(カルシウム-マグネシウム)が、非常に悪いということだ。
カルマグバランスは、体内では、2:1に保たれる仕組みになっているため、カルシウムばかり吸収していると、マグネシウムが不足する。
このとき我々の身体はどうするかというと体内マグネシウムの50~60%が骨にストックされているため、骨を溶かして、ストックしていたマグネシウムを血液中に放出する。
一方、尿からは、マグネシウムよりカルシウムの方がたくさん排泄されるため、次第にカルマグバランスが整っていく。
ただしカルマグバランスを整えるために、骨を溶かしているので、骨が弱くなるかも?ってことだな。
だから牛乳だけ飲んでると、骨が弱くなるよ、というのは、理論的には大間違いではない。
しかしこれは単なる「ミネラルバランスの話」だから、野菜やナッツなどでマグネシウムを、しっかり摂れば良いだけの話だ。
牛乳を飲んではいけない理由ではなく、野菜も食べてバランスを整えろという話だ。
因みに、カルシウムをたくさん摂っている地域で、骨折や骨粗しょう症などが起こりやすい現象を「カルシウム・パラドクス」という。
ただしWHO(世界保健機構)は、このカルシウムパラドクスは、カルシウムの摂取量の問題ではなく、タンパク質の取り過ぎと、野菜の摂取不足に原因があるとしている。
野菜の摂取不足があると、タンパク質中の酸性のアミノ酸(含硫アミノ酸、メチオニン、システイン)が、骨を溶かす酸として働くので、骨が弱くなると言う話らしい。
結局、牛乳を飲むと骨が弱くなるのではなくて、タンパク質をたくさん摂ってるときは、野菜を食べないと骨が弱くなるってことだな。