野菜につく害虫と農薬(1)アブラムシとベストガード
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野菜や果物に残る残留農薬の多くは、殺虫剤や殺菌剤だ。
野菜には様々な虫がつくため、それを防いだり繁殖を防ぐため、様々な農薬が使われるのだ。
ほうれん草などの葉物野菜の場合は、アブラムシ、蛾の幼虫、ハムシ、ハモグリバエ、などといった害虫がつく。
葉っぱをそのまま食べる野菜の場合、虫に食われたら商品価値がなくなり、スーパーには出荷出来ないため、これを除去する目的で農薬が使われる。
ダイコンなどの根菜でも、葉っぱを食べない前提で、農薬が使われていることが多い。
野菜につく害虫と農薬(1) アブラムシ
春(4〜6月)や秋(9〜10月)に大発生しやすい。
黄緑色のごま粒のような虫。
化学肥料(窒素肥料)が多すぎると、それに惹かれて発生しやすい。
たいていの野菜につき、作物の汁を吸う。
そのため「吸汁性害虫」と呼ばれる。
アブラムシ自体は大繁殖しなければ、作物の生育にはさほど害を与えない。
しかしアブラムシはウイルス病の媒介をするため、他の作物に病気が発生すると、アブラムシがそれを広めてしまうため、アブラムシの駆除が必要になる。
このアブラムシの繁殖を抑える農薬としては、ベストガード剤(有効成分:ニテンピラム)が、よく用いられる。
ベストガードの有効成分のニテンピラムは、稲の害虫で有名なウンカや、野菜や果物のコナジラミにも効く。
また犬や猫のノミ退治にも、医薬品として使われている。
このベストガード粒剤は、作物の苗を畑に移植するときに、土に混ぜておくと、効果が1~2ヶ月に渡って持続する。
そのあとは、水溶液を収穫までに、3回くらい吹きかけて使うようだ。
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食害性害虫 売り物の葉っぱを食べる害虫
野菜や果物を育てるには、害虫や病気のコントロールが重要だ。
害虫にも色々あって、アブラムシのように、あまり害がなくても、ウイルス病を運んでくるような虫もいる。
また一種類の害虫を駆除すると、別の害虫が大繁殖したりするため、どうしても複数の農薬を使わざるを得ないという事情もある。
さらに、葉物野菜の場合は、害虫に葉っぱを食べられると、その株はもう売り物にならないため、農薬を使わざるを得ない。
野菜につく害虫(2) 蝶や蛾の幼虫
野菜栽培で、直接的な害を与えるのが、蛾の幼虫であるアオムシ、ヨトウムシ、ハスモンヨトウ、ハイマダラノメイガ、コナガ、ネキリムシなどだ。
これらは売り物になる葉っぱを食べるので、「食害性害虫」と呼ばれる。
アオムシ(青虫)は、蝶や蛾の幼虫で葉っぱを食べる。
ヨトウムシ(夜盗虫)やネキリムシ(根切虫)は、昼間は土の中に隠れていて、夜に葉や茎を食べる。
蝶や蛾の幼虫なので、卵を産み付ける時期に、農薬を撒いて駆除する。
野菜につく害虫(3) ハムシ
ハムシというのは10ミリ以下の甲虫で、ミニ黄金虫のことを言う。
成虫は葉っぱを食べ、幼虫は茎や根を食べる。
種類によって好きな作物が違うようで、ウリハムシ、キスジノミハムシ、ダイコンサルハムシなど、様々な種類のハムシがいる。
売り物になる葉っぱを食べるので、「食害性害虫」と呼ばれる。
蝶や蛾の幼虫と共に、農薬がたくさん使われる原因だ。
野菜につく害虫(4) ハモグリバエ
ハモグリバエは、植物の葉っぱに卵を産むハエだ。
卵からかえった幼虫は、葉っぱを食べて育つため、作物の生長を悪くしてしまう。
キュウリやメロンなどウリ科作物や、トマトやナスなどナス科作物を好む。