赤米(あかまい)とは、日本人が長年食べてきた米
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お米にも様々な品種がある。
今から30年くらい前の1990年頃は、コシヒカリとササニシキという2大銘柄が人気だった。
コシヒカリは、アミロペクチンが多いモチモチ系のお米で、大人気になった。
一方、ササニシキは、アミロースが多い硬めのお米で、寿司のシャリや炒飯やカレーなどといった料理に適していた。
ところが、1993年の大冷害で、ササニシキが大凶作になってしまった。
その結果、ササニシキのかわりに、ひとめぼれが作付けされるようになり、ササニシキはめっきり栽培されなくなった。
一時は作付面積第二位だったササニシキが、たった一年の凶作で、ダメになってしまったわけだ。
こういう風に、かつては大きなシェアを持っていた米が、いつの間にか見なくなっていると言うことは、結構ある。
実は、日本の米も、明治時代には、4割くらいが「赤米(あかまい、あかごめ)」と呼ばれる米だった。
赤米は、その名の通り赤い米で、精米しても少し赤みを帯びた米だ。
メジャーな米の品種としては、赤米の他に、黒米や緑米というモノもある。
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赤米は、かつて全国的に栽培されていた米の品種だ。
というのも赤米は病害虫に強く、悪い環境でも育つ、非常に強い品種だからだ。
棚田で栽培されていたのも、赤米が多かったという。
ただ欠点も多く、だんだん栽培されなくなっていった。
というのもまず赤米の赤みは、お茶にも含まれるタンニンと呼ばれる成分で、苦味がある。
タンパク質が多いが、アミロースも多いので、硬い。
収量も少ないし、肥料が多すぎると、育ちすぎて倒れてしまう(倒伏)。
そのため、明治時代になると、次第に収量の多くて味が良い白米に置き換わっていったわけだ。
さらに昭和になると、排除の対象になったりもしていた。
赤米は江戸時代から、あまり良い米とはされておらず、高く売れなかった。
白米に赤米が混ざると評価が下がるので、雑草扱いして除草されるようになった。
五穀の一つであるヒエでさえも、現代の稲作では雑草扱いだから、それもやむ無しか。
ただ近年、健康志向の高まりで、黒米や雑穀への関心を持つ人も増えてきた。
赤米のポリフェノールの健康効果に期待する人も増え、古代から栽培されてきた赤米を観光資源として利用する自治体も出てきた。
赤米の味や食感には独特のモノがあるが、それを好むヒトも増えた。
まあ、明治の初期まで、日本人(特に庶民)が食べてきた赤米なんだから、当たり前と言えば当たり前なんだが。