ノルウエー産の鯖は、なぜ丸々太っているのか
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現在、日本国内で流通しているサバの半分は、ノルウェー産のサバだという。
スーパーで売っている鯖の7割が、ノルウエーなど北欧からの輸入だという説もある。
ノルウェーというと北欧の漁業国だが、ノルウェーが輸出している鯖の半分くらいが日本に輸入されているのだという。
国内の水産加工業者も、国内産のサバよりも、ノルウェーの冷凍サバを材料に使っているらしい。
日本近海でも鯖はたくさん獲れるのに、なんでまたノルウェイから大量にサバを輸入しているのか?
ノルウェー鯖って、そんなに安いの?
ところが実は、ノルウエー産のサバの方が値段は高いのだという。
実際、日本も海外にサバを輸出しているのだが、ノルウエーのサバより何割も安いのだという。
この差は品質の差なんだという。
じゃあなぜ日本の鯖よりもノルウエーの鯖の方が旨いのか?
日本にだって、関サバ(関門海峡)だとか金華サバ(宮城)といった、ブランド鯖はいくつもあるし、脂ののった鯖はたくさんあるハズなのに。
これは日本の水産資源管理が杜撰(ずさん)で、小さな鯖を乱獲しているかららしい。
成長する前の、脂ののっていない小さなサバを大量に獲っては、安値で買いたたかれているらしい。
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日本のサバとノルウエーのサバ、何が違うのか。
サバは国際的に漁獲量の割り当てが決まる魚だが、国内での割り当て方法は国毎に違う。
ノルウエーでは、自国に割り当てられたサバの漁獲枠は、漁船や漁業会社毎にサバの漁獲量を割り当てており、禁漁期間も設定している。
そのため、ノルウェーの漁船や漁業会社は、最も高く売れる肥えた大きなサバだけを狙う。
脂がのる冬の二ヶ月の間だけ集中的に漁をして、それを急速冷凍して売るのだ。
そのため、獲ったサバをすぐに冷凍するために、漁協や漁業会社は、冷凍設備を持った大型船を持っている。
マグロ漁船団並に、鯖を獲っては冷凍し、冷凍したサバの売り先が決まったら、港に入港して荷下ろしをするわけだ。
場合によっては2ヶ月くらい洋上にいるので、豪華客船並みの船室が備えつけられている漁船もある。
一方、日本では、漁獲量の割り当てが漁船や漁協毎にキッチリ割り当てられていない。
そのため漁師や漁協が、我先に鯖を取り合いしてしまう。
さっさと獲らないと、漁獲枠がなくなってしまうので、脂ののっていない鯖を大量に獲ってしまう。
しかし脂ののっていない痩せた鯖は、ノルウエー鯖の半額でしか売れないから儲からない。
ちゃんと儲からないから、日銭稼ぎで、痩せた鯖や小さなサバをまた大量に獲る。
しかし加工場の能力を考えずに、多く獲り過ぎて、安く買いたたかれてしまう。
日本のサバ漁船は急速冷凍設備を持たない漁船が多いため、大量に鯖を獲ってもダメにしてしまいがちなのだ。
ダメになったサバや小さなサバは、豚のエサや肥料にしか加工できず、二束三文の値段でしか売れないのに、なぜか大量に獲ってしまう。
ブランド鯖の場合は、その地域の漁協が漁場管理をしているため、小さなサバや痩せた鯖は獲らないが、他の地域ではそうは行かない。
国産のサバが薄っぺらくて、脂がのっていないのは、こういう事情があったんだね。
最近のサバ事情
近年、ノルウエーも鯖を獲りすぎていて、サバ資源が持続可能ラインギリギリになっているという。
一方、日本国内では、長崎など九州地方でサバの養殖が盛んになり、様々なブランド鯖が出回るようになった。
サバの単価がブリより高くなったため、大手企業も鯖養殖に乗り出して、肥えたサバもスーパーに並ぶようになっている。
鯖の養殖は、150グラム未満の天然マサバを捕ってきて、それを生けすに放り込んで、半年くらいエサをやって400グラムまで育てて出荷するというのだが、ブリの養殖と同じくらいのエサで、より高く売れる鯖が育てられるらしい。
ただ、より高値で売買されるマグロ養殖ではエサにサバを使うので、養殖用の種サバの仕入れ値が高騰しており、予断は許さないようだが。