豚肉の多くが、イギリス原産
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アメリカ大陸からヨーロッパに、ジャガイモやトウモロコシなどといった、新作物が伝わって広まった。
同時期にイギリスのノーフォーク州では、ノーフォークローテーションという、輪栽式(りんさいしき)農業が広まっていた。
輪栽式農業というのは、一つの農地で4つ以上の作物を、順番に作っていくという農法で、大麦→クローバー→小麦→カブ(またはジャガイモ)と言う風に作物を作っていく。
これによって、牛や鶏と言った家畜を、畜舎で舎飼いできるようになった。
クローバーやウマゴヤシの根粒菌は、空気中の窒素を取り込んで、タンパク質などの栄養分を作れるため、土地も家畜も肥やしたのだ。
それ以前は、放牧地の広さによって、飼える頭数の上限が制限されていた。
ところがカブやジャガイモを、エサに使えるようになったので、エサさえ用意出来れば、家畜をたくさん育てられるようになった。
さらに家畜の糞は良い肥料になったから、好循環が発生して、農産物も畜産物も、生産量が爆発的に増えた。
一方、畜産に関する研究も進み、豚の品種改良も進んだ。
豚というと、ドイツや中国のイメージだが、現在、世界で生産されている豚肉の多くが、イギリス原産の豚の子孫だ。
豚の品種の用途別分類
- ベーコンタイプ…赤身率が高い加工用の品種
- ラードタイプ…脂肪分が多い品種
- ポークタイプ(ミートタイプ)…肉質が良い中間的な品種
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豚の品種の色々 豚肉はイギリスにつながる
現在、世界中で飼育されている豚の多くが、イギリス原産の豚の血を引いている。
たとえば一番有名なのが、イギリスのヨークシャー原産の「ヨークシャー種」(白豚)だ。
ヨークシャー豚には大型と中型と小型があるが、中ヨークシャー種はポークタイプの品種で、一時期は日本でも最も飼育された品種だ。
ポークタイプの豚は肉質が良いため、現在も、神奈川の「高座豚」(こうざぶた)というブランドで生産されている。
一方、大ヨークシャー種は、胴長のベーコンタイプの豚で、身体がデカく、多産の豚だ。
ベーコンタイプの豚は肉質がもうひとつなため、他の品種と掛け合わせて肉を生産する。
三元豚などのベースとなっているのも、この大ヨークシャー種と、大ヨークシャー種の交配種であるランドレース種(デンマーク)という豚だ。
三元豚は三種交雑種だが、大ヨークシャー種(オス)×ランドレース種(メス)×デュロック種(オス)と言う風に交雑種を作る。
一方、黒豚と呼ばれるタイプの豚は、イギリスのバークシャー原産の「バークシャー種」だ。
鹿児島の黒豚も、このバークシャー種で、中型だが味が良い。
豚の品種のまとめ
- 大ヨークシャー種(イギリス)…ベーコンタイプ。
三元豚の最初のオス豚
- 中ヨークシャー種(イギリス)…中型ポークタイプ
- ランドレース種(デンマーク)…三元豚の最初のメスに使われる。
大ヨークシャー種とデンマークの在来種の交配種
- バークシャー種(イギリス)…中型の黒豚。
ポークタイプ
- ハンプシャー種(イギリス/アメリカ)…イギリス原産の豚をアメリカで改良。
ポークタイプ
- デュロック種(アメリカ)…三元豚の2段階目のオス。
大型のポークタイプ