鶏肉のブロイラーって何?
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ここからは食料品に関する基礎知識を紹介していくことにする。
スーパー特有の安売り商品については、また別に紹介していく。
まず最初は鶏肉の「ブロイラー」だ。
スーパーに並んでいる一般の鶏肉が、「ブロイラー」と呼ばれる鶏だが、このブロイラーとは、どういう鶏か。
実はブロイラーという品種はない。
ブロイラーというのは元々「あぶり焼き」の意味で、あぶり焼きに適した小型の鶏をブロイラーと呼ぶ。
肉用の鶏は成長すると、3.5-4.5キログラムくらいになるが、ブロイラーは2キロ弱になったら出荷する。
つまりブロイラーは若鶏ってことだ。
そしてブロイラーに使われる鶏は、独立した品種ではなく交雑種だ。
交雑種(こうざつしゅ)とは、違う種類の鶏を掛け合わせて、互いの欠点を補ったもので、「F1種」とも呼ばれる。
現在、ブロイラーに使われているのは、白色コーニッシュのオス鶏と、白色プリマスロックのメス鶏だという。
白色コーニッシュは、赤色コーニッシュという品種の突然変異で、元は赤褐色の鶏だった(ヒヨコはオレンジ色)。
もう一方の白色プリマスロックも、元々は横斑プリマスロックという種類で、黒ベースに白が混ざったような羽色の鶏だった(ヒヨコも黒白)。
これらの有色種を白色に改良したものを、ブロイラー生産では利用する。
なぜ白色の鶏を使うかというと、ブロイラーでは機械で羽をむしるため、羽色が付いた鶏では、きれいに処理出来ないかららしい。
そういえば、合鴨農法に使う合鴨なんかも、羽をむしるコストが嵩んで、いろいろ苦戦していたっけな。
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ブロイラーに交雑種を使う理由
現在、ブロイラーに使われる鶏は、白色コーニッシュのオス鶏と、白色プリマスロックのメス鶏を掛け合わせて作る交雑種(こうざつしゅ)だ。
交雑種を使う理由は、品種ごとに長所と短所があるからだ。
たとえば白色コーニッシュは、闘鶏の血も入っているため、胸の肉などが付きやすい。
増体性(体重の増え方)が良くて、肉質も良いのだけれど、残念ながら繁殖力に劣っていて、メスは年間150コくらいしか卵を産まない。
これは他の鶏の品種と比べて、ちょっと少ない。
そこで年間200コくらい卵を産む、白色プリマスロックのメスと交雑して、生産量を増やすと言う工夫をしている。
この交雑種のヒヨコを7週間育成して、2キロ近くになったら肉にする。
わずか7週間ちょっとで出荷出来るため、えさ代も安く付き、鶏肉は安くつくれる。
地鶏なども、繁殖力が弱いモノは、繁殖力の強い品種と掛け合わせて、それを出荷していたりする。
身体が小さな地鶏は、身体が大きな品種と掛け合わせて、それを出荷したりしている。
比内地鶏(ひないじどり)なんかも、繁殖力が弱くて身体が小さい比内鶏に、ロードアイランドレッドという、身体が大きくて繁殖力が強い品種を掛け合わせて作っている。
というのも地鶏はもともと、成長も遅くて増体性もあまり良くない。
地鶏は、2キロまで育つのに、20週間もかかることが多く、ブロイラーに比べると、3倍も生産コストがかかる。
これじゃあ値段も高くなるのも当然だな。
逆に言うと、ブロイラーは、在来種と比べて3倍以上も低コストってことらしい。