プライベートブランドの歴史
更新日:
1960年頃から世の中に出始めたプライベートブランド。
プライベートブランドとは、小売店が独自に開発して、自社店舗で販売している商品のブランドのことだ。
たとえば1960年代に、日の出の勢いで出店攻勢をかけていたスーパーのダイエーでは、キャプテンクックというブランドを作り、自社企画製品を製造販売していた。
当時の日本は高度経済成長期で、人口はどんどん増え、住宅地も広がり、スーパーもどんどん増えていた時代だった。
食品メーカーも増産に次ぐ増産で、インフレで商品価格もどんどん騰がっていた。
当時はまだモノ不足気味で、価格支配力はメーカー側にあった。
なのでスーパーなどの小売店は、メーカーの作る大量生産品を仕入れ、ただそれを店に並べて売るだけだった。
大量に仕入れたい商品があっても、人気商品の生産量は限られてるので、いかに人気商品を大量に仕入れるかが、バイヤーの腕の見せ所だった。
そんな中で誕生したのが、プライベートブランドだったわけだ。
プライベートブランドの強みは、圧倒的な価格訴求力だった。
スーパーは価格訴求力、つまり「良い商品を安く売る」ことを、ミッション(使命)としている業態だから、なんとか商品を安く仕入れたい。
ところが人気商品はメーカー側に価格支配力があるため、なかなかそう簡単に安くは仕入れられない。
ということで「人気商品の代替品」として、プライベートブランドを作り、割安な価格でそれを売り始めたって事らしい。
広告
長期不況で変わるメーカーの態度
小売店は、可能な限り、人気商品を安く店に並べたい。
しかし人気商品の価格は、メーカー側に価格支配力があるため、仕入れ価格を下げることは難しい。
そこで登場したのが、プライベートブランドの商品だ。
プライベートブランド商品は、自社で企画開発するため、メーカーと価格交渉する必要が無く、売りたい値段で、売りたい数だけ、勝手に作って売ればよい。
ナショナルブランドのメーカーであれば、商品開発や生産だけでなく、営業部員が足で稼いで販路を広げたり、テレビやラジオでCMを流したりという販売コストや営業コストが必要になる。
しかしプライベートブランドは、自社店舗で売るための商品であり、また人気商品の「代替品」であるため、対外的な営業コストもほとんどかからない。
全く新しい商品なら、その商品の良さを、消費者に根気よくアピールする必要があるが、人気商品のバッタ物であればそれも必要が無い。
というわけで、プライベートブランドというのは、人気商品や定番商品の二級品として、永らく扱われてきた。
ところが90年代のバブル崩壊以降の不況で、次第にプライベートブランドの価値が上昇した。
というのもプライベートブランド商品の生産を、大手メーカーが引き受け始めたからだ。
不況と高齢化でモノが売れなくなり、すっかり買い手市場になってしまったため、確実に売り上げが見込めるOEM生産に、本格的に参入しだしたのだそして最大手メーカーも、型落ち商品を、低価格商品として開発して売り始めた。