キノコが健康に良いわけ
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キノコは、健康に良いとされる。
たとえば、きのこに多く含まれる「ベータグルカン」という成分は、免疫力をアップさせる効用があるとされている。
グルカンは多糖類の一種で、オート麦のフスマ(全粒粉オートミール)やキノコの細胞壁に含まれる食物繊維だ。
アメリカのFDA(食品薬品局)は、オート麦のフスマは心疾患のリスクを下げるとして、全粒粉オートミールを積極的に摂るように推奨していたりする。
日本ではオート麦は一般的な食品ではなく、ベータグルカン供給源は、もっぱら椎茸などのキノコだ。
キノコのベータグルカンは抗腫瘍作用を持ち、免疫力をアップさせると言われている。
ベータグルカンは食物繊維だから消化吸収されないのだが、免疫システムを活性化する働きがあるらしい。
これは、人間の免疫力が、小腸の腸壁に住む腸内細菌などによって支えられているせいらしい。
キノコの健康成分 エルゴチオネイン
一方、キノコに特有の健康成分として、エルゴチオネイン(Ergothioneine:EGT)という成分も注目されている。
エルゴチオネインは含硫アミノ酸の一種で、赤血球や肝臓、腎臓や目の水晶体などに存在する。
エルゴチオネインには強い抗酸化力があって、活性酸素によるDNAの損傷や過酸化脂質の生成を防ぐのだという。
そして近年また、認知症予防にも役立つのではないかと、期待されている。
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軽度認知障害(MCI)予防にも良い?
シンガポールに住む60歳以上の高齢者を対象とした、食事と認知症との関連を追跡調査した研究で、キノコをよく食べている高齢者は、軽度認知障害(MCI)の発症リスクが低かったと報告された。
軽度認知障害とは、記憶や言語などの認知機能は低下しているが、日常生活には支障が無い症状だ。
MCIは認知症の前段階とされており、MCIの発症率を下げることが認知症予防になるということらしい。
この調査では、日常的に2カップ以上のキノコを食べていた高齢者は、MCIを発症するリスクが50%低かったという。
この一因として考えられているのが、キノコに含まれるエルゴチオネインだ。
というのも同じシンガポールの別の調査では、MCIを発症している高齢者の結晶中のエルゴチオネイン濃度が健常者に比べて低かったことが報告されていたからだ。
エルゴチオネインは、血管脳関門を通過できるアミノ酸で、しかも強い抗酸化力を持つため、脳の神経細胞に良い影響をもたらすらしい。
このエルゴチオネインは、体内で合成されない成分で、食品やサプリメントからしか摂れないため、日常的にキノコを食べれば、認知症を遠ざけられるかも知れない。
エルゴチオネインを多く含む食品
- シイタケ
- ヒラタケ
- タモギダケ