薄っぺらいサバは、一体どこのサバ?
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関西で鯖寿司というと、バッテラと棒寿司の2種類がある。
バッテラというのは大阪の押し寿司で、鯖の身の上に白板昆布を貼った四角い寿司だ。
バッテラは、昆布を剥がさずにそのまま食べる。
一方、棒寿司というと、京都の寿司で、サバの半身に練った酢飯を併せた寿司だ。
京都の棒寿司にも昆布は巻かれているが、食べるときは昆布を外して食べる。
この二つの鯖寿司を比べると、鯖の身の厚みが全然違う。
バッテラで使われている鯖の身は5ミリから8ミリくらいの厚みで、薄っぺらい。
一方、棒寿司の鯖の身は分厚くて15ミリくらいあったりする。
関東には、昆布を使ったバッテラ寿司というのはないが、やっぱり鯖の身が厚い鯖寿司と、身が分厚い棒寿司の2種類が売られている。
同じ鯖を使った寿司だというのに、この厚みの違いは一体何だろう?
ただバッテラと鯖の棒寿司の違いは、そもそも由来が違うのだという。
大阪のバッテラ寿司は元々、コノシロとか小鯛のような小さな魚を使って作る寿司だったらしい。
小さな魚を使うので、もともと薄っぺらい形で作るモノだったのだろう。
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ただ小さな魚を使うのは面倒だし、値段も高くなる。
また数もたくさん作れないので、たくさん採れるサバを材料に使う様に変わっていったらしい。
奈良には「柿の葉寿司」という、鮭や鱒(マス)を使った押し寿司もある。
あれもサケマスを薄切りしたのがシャリの上に乗っかっているから、もともとそういう形が押し寿司の定番なんだろうね。
一方、京都の棒寿司は、鯖街道を通って運ばれてくる塩漬け鯖を使った寿司だ。
日本海側にある若狭湾で水揚げされたサバを塩漬けにして、それを京都まで運んでくる。
それを塩抜きした後に酢に漬けたあと、練った酢飯と合わせ、最後に昆布を巻く。
棒寿司のサバは、半身にして小骨を取った後は、食べる前まで包丁は使わないので、鯖の身は厚い状態のままだ。
棒寿司というのは元々、祭事の際に作るものだから、あまり手間をかけずに、大量に作れる形になったらしい。
また、棒寿司を作るには、一定の大きさのサバが必要なので、大きな鯖が獲れる冬の季節にしか作らないのも鯖の身が分厚い理由だろう。
一方、バッテラのサバは、年中獲れる鯖を使って作っている。
スーパーで見かける薄っぺらい国産のサバでも作れるというわけだ。
それにしても棒寿司のサバは、あんなに分厚いのに、国産のサバってなんであんなに薄っぺらいのか。
一方、ノルウエーから輸入している鯖は、みんな分厚いサバばかりだ。
この違いはいったい何なのかというと、漁業に取り組む姿勢が全然違うかららしい。
一口で言ってしまうと、ノルウエーは貴重な輸出品としてサバを捉えているのに対し、日本の水産業は、他にやることがないから、旬でもないのにサバを獲っているということらしい。