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食物繊維の研究の歴史

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納豆は、食物繊維を多く含む食品だ。

 

食物繊維というのは、人間が消化できない炭水化物の事で、セルロースとか、ペクチンとか、様々な種類がある。

 

水溶性の食物繊維は、血糖値の上昇を抑え、不溶性の食物繊維は腸の運動を促進させる。

 

納豆は、水溶性と不溶性の食物繊維の両方を含む、数少ない食品だ。

 

この食物繊維は、20世紀後半までは、身体に吸収されるわけでもなく、特に何の役にも立たないものだと考えられていた。

 

それどころか栄養素の吸収を邪魔する、厄介モノだと考えられていた。

 

食物繊維の有用性を唱える研究者は20世紀前半からいたのだが、当時は見向きもされなかった。

 

というのも当時はまだ、伝染病や心臓病などの緊急性のある病気の対策が優先されてたからだ。

 

ところが緊急性が必要無い慢性病、いわゆる「生活習慣病」が徐々に社会問題となっていった。

 

心臓病や動脈硬化と言った病気にも、日々の食生活が重要だと考えられ始めた。

 

さらにアフリカ人の栄養状態を研究していた栄養学者が、アフリカ人の便通や健康状態の良さと、食物繊維の摂取量に相関関係があると気がついた。

 

そして様々な疫学調査の結果、確かにいくつかの慢性病と食物繊維の摂取量に、相関関係があると認められ、研究が進んだのだ。


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食物繊維の摂取量と、いくつかの慢性病・生活習慣病に相関関係があることが認められ、食物繊維が我々の身体の中でどういう働きをしているか、様々な研究が始まった。

 

関係があると分かれば、それなりに研究費が付くし、シリアルを作っている食品のメーカーも、研究所を立ち上げたり、大学に研究費を寄付して研究が進む。

 

その結果、人間には消化できず、吸収されないはずの食物繊維も、腸に住み着いている細菌が分解して、人間に有益な栄養素を作り出していることが分かってきた。

 

人間が全く消化吸収できないセルロースでさえも、数十%は分解されて吸収されることが分かってきた。

 

また、健康で長生きしている地域の住民の腸内はキレイで、逆に短命で不健康な地域に住んでいる住民の腸内はあまりキレイではなかった。

 

そのため、腸内細菌叢(腸内フローラ)の研究も始まった。

 

その結果、腸に住んでいる細菌の種類やバランスは、食べているモノや住んでいる地域によって異なり、健康状態とも大きな関係があると分かってきた。

 

さらに食物繊維は、腸内細菌に住みかや栄養を提供し、善玉菌とよばれる有益な腸内細菌の活動を助けることが分かってきた。

 

では納豆は、腸内で何をしているのかというと、微妙だ。

 

納豆菌は最強の細菌で、大抵の細菌より強いのだが、実は納豆菌は腸内に住みつくことはないのだ。

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