カンピロバクター菌っていったい何?
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最近の食中毒の患者数ランキングは、1位がダントツでノロウイルスだ。
ノロウイルスというのは、非常に強力なウイルスで、11月から2月の間に流行する。
人の身体でも増殖するウイルスなので、流行し出すとなかなか防ぐ手立てがない。
そして食中毒の原因の第2位と第3位は、サルモネラ菌と、カンピロバクター菌だ。
サルモネラ菌は、集団食中毒で、良くニュースになっているので、耳にする機会も多い。
しかしカンピロバクター菌ってなんだ?実は一件当たりの患者数は少ないが、発生件数が多いのが、カンピロバクター菌だ。
平成27年の食中毒統計では、サルモネラ菌による食中毒もカンピロバクター菌による食中毒も、共に2,000人前後の患者を出している。
カンピロバクターは318件で2,089人、サルモネラ菌は、25件で1918人だ。
ここから一件当たりの患者数を計算すると、カンピロバクター菌は、1件当たり、約6.6人サルモネラ菌は、1件当たり、約76.7人だ。
つまりカンピロバクター菌の食中毒は、非常に狭い範囲で起こっていて、なかなかニュースになりにくいらしい。
これでは、知らないのも当然かな。
食中毒の原因別の発生件数と患者数(平成27年)
発生件数 | 患者数 | |
ノロウイルス | 481 | 14876 |
カンピロバクター | 318 | 2089 |
サルモネラ菌 | 24 | 1918 |
ぶどう球菌 | 33 | 619 |
ウェルシュ菌 | 21 | 551 |
腸炎ビブリオ | 3 | 224 |
腸管出血性大腸菌 | 17 | 156 |
その他病原大腸菌 | 6 | 362 |
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カンピロバクター菌は、鶏肉に多い
カンピロバクター菌は、肉に付着して増える。
と言うのもこの菌は元々、鶏や豚などの動物の腸内にいて、と畜したあとの解体作業で、肉に付着してきやすいのだ。
しかもこのカンピロバクター菌は、寒さに強くて、冷蔵庫内でも増える。
なので冷蔵庫で保存していても、安心出来ないタイプのばい菌だ。
幸い、高温で1分以上加熱すると、そのほとんどが死滅するため、食中毒にはならないが、加熱が甘いと危ない。
生肉のままで食べたり、湯通し程度の軽い加熱調理では、カンピロバクター菌を食べてるのと同じだ。
特にカンピロバクター菌に注意が必要なのが鶏肉や、鶏の内臓肉の料理だ。
というのも家禽類(鶏やアヒルや鴨など鶏系の家畜)は、カンピロバクター菌をたくさん持っているからだ。
市販の鶏肉を調べたところ、過半数の鶏肉に、カンピロバクター菌が見つかったという報告もある。
それくらい「ありふれた菌」だから、しょっちゅう食中毒が起こるということらしい。
冷蔵庫から鶏肉を取り出して、それを軽く湯通しして食べたら、カンピロバクター菌が付いていて、食中毒を起こす、なんて感じかな。
自然界最強の毒素を作るボツリヌス菌も、自然界にはそこら中にいる菌だが、しっかり加熱して食べれば問題は無い。