ミートインジェクター
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ミート・インジェクターとは、肉や魚に調味液を注入するための機械だ。
数十本から数百本の「ニードル」と呼ばれる注射針で、肉や魚に調味液を注入する。
機械の大きさは様々で、針の数も様々だが、これを置いているスーパーは滅多にない。
というのもミートインジェクターは、食品工場で主に使われるモノで、そこで作ったモノを配送してくることがほとんどだし。
個人的には、非常におもしろい機械だなと思っている。
そして使いようによっては、おもしろい独自商品が作れそうな気がする。
そのうち、スーパー独自のインジェクション・ミートとか、インジェクション・ミールがヒットしそうな気もするが、今のところはまだ、サイコロステーキだとか、味付け焼き肉くらいしか出回っていないようだ。
因みに、家庭用のミートインジェクターもあって、アメリカで販売されているらしい。
インジェクターは、たくさんの針を刺すことで、素材を柔らかくする効果があるため、テンダライザーとしても使われるようだ。
肉や魚を柔らかくしたり、味や香りを付けたりして料理を楽しむらしい。
家庭用ミート・インジェクター(兼テンダライザー) 動画
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話を最初に戻すと、スーパーで安売りしている「サイコロステーキ」は、加工成形肉だ。
加工成形肉とは、肉を切り貼りして味を付け、形を整えた肉のことだ。
サイコロステーキの場合は「インジェクション加工」という方法で、オーストラリア産やニュージーランド産の安い牛肉に、牛脂と調味料を混ぜた調味液を注入して作る。
オーストラリア産やニュージーランド産の牛は、グラスフェッド(牧草肥育)という方法で育てていて、サシが少なく硬い。
つまり余分な脂肪が付いていないため、うまく熟成させないと、硬くて食べにくいのだ。
最近でこそ、グラスフェッドの赤身牛肉の良さが理解され始めたが、かつては赤身牛肉は硬くて歯が立たない酷い肉だった。
というのも昔は、屠畜した後にすぐに冷凍して輸出していたため、熟成の旨みも柔らかさもなかったからだ。
そのためミート・インジェクターを使って、肉を軟らかくすると共に、牛脂と調味料を肉に注入して、美味しく食べられるように加工したと言うことらしい。
しかし近年、肉を熟成させながら運んだチルド肉や、熟成させた後にカットしてから冷凍して運ぶといったこともできるようになり、輸入牛肉はマズいという風評はあまり聞かなくなった。
そんなことを言ってるのは、我々、日米牛肉オレンジ交渉を知ってる世代の年配者くらいだろう。
また穀物肥育でブクブク太った牛の肉より、牧草で育った健康な牛の肉の加工品の方を選ぶ消費者も増えてきているようだ。
牛脂注入牛肉の作り方 動画
因みにインジェクターの針が刺さった後、引き抜くときに針の横の穴から調味液が噴き出す仕組みらしい。
ニードルを突き刺して引き抜く時間を調整すると、たくさん調味液を入れることが出来て、体積が何倍にもなったりする。
水増しハムは、そうやって作るらしい。