硝酸態窒素とメトヘモグロビン血症・ブルーベビー症
更新日:
日本農業は農薬や、化学肥料を過剰使用している。
そのため、土壌は硬くなり、生態系が大きく狂っている。
というのも殺虫剤を大量に撒けば、確かに目の前の害虫は殺せるが、その害虫のために繁殖出来なかった、別の害虫が大繁殖したりする。
また殺虫剤に耐性ができた、強い害虫もだんだん出てくる。
これは除草剤でも同じ事で、特定の除草剤で取り除いた雑草の替わりに、別の雑草が大発生してしまう。
そのため別の除草剤を使うのだが、これは作物にもストレスを与えるから、病気にかかる可能性も高まる。
もちろん雑草も除草剤に耐性ができ、より強い雑草が繁殖することもある。
また肥料の過剰投与も生態系を狂わせる。
農産物の三大肥料というと、窒素・リン酸・カリ(カリウム)だが、窒素肥料の過剰投入は、硝酸態窒素(しょうさんたい・ちっそ)を発生させる。
人間や動物が硝酸態窒素を大量に取ると、体内で亜硝酸態窒素が発生し、血液中のヘモグロビンを酸化する。
これによって血液が紫色になってヒドい場合は酸欠で死亡することもある。
これが「メトヘモグロビン血症」だ。
ヨーロッパでは、硝酸態窒素で汚染された井戸水を飲んだ赤ん坊が、メトヘモグロビン血症で青くなる、「ブルーベビー症」が発生して大問題となった。
広告
埋設処分農薬 危険な農薬が国土に埋まっている
農薬に関しては、「埋設農薬」という問題もある。
1970年代初めに、処分に困った農薬を、全国の土の中に埋設処分したまま、数十年も放置しているのだ。
具体的には、DDT、アルドリン、ディルドリン、エンドリン、クロルデン、ヘプタクロル、BHCといった、塩素系の危険な農薬が、土の中に埋められたままになっている。
これらの農薬は、環境中に長期残留し、人間や家畜に悪影響を及ぼすことがわかり、1970年代初めに使用が禁止された。
そしてその処分方法として選ばれたのが、「埋設(まいせつ)」つまり「土の中に埋める」という方法だった。
田畑に撒くと危険な農薬を、埋めて処分するなんてとんでもない話だが、面倒なモノは埋めてしまうのが田舎の流儀らしい。
農学部の授業でこの話を聞いたときの記憶では、コンクリートで受け皿のようなモノを作り、そこに分厚いビニールなどで包んだ危険農薬を、土中に埋めたと言うことらしい。
こんなやり方で、危険な農薬が流れ出さないのか、かなり疑問なのだが、そういうことを70年代にやった。
ところが2001年にストックホルムで、「残留性有機汚染物質(POPs)条約」が採択され、2004年から発効した。
POPs条約では、危険な物質を、土中に埋めておくことが禁止されているため、2008年から埋設処分された廃農薬を、掘り返して処分することが検討されている。
現在確認されているのは、全国で170カ所くらいらしいが、農学部の授業で聞いた記憶では、300カ所前後あるはず。
少なくともあと100カ所くらいは、土の中に危険な農薬が眠ってて、いつか問題になるんだろうな。