ササニシキは、寿司やカレーに合うお米
更新日:
ササニシキと言えば、20世紀後半に大人気だった、お米のブランド銘柄だ。
かつては「ササ・コシ」と呼ばれ、コシヒカリと人気を二分していた。
ところが最近は、ほとんどのスーパーでササニシキは売られていない。
というのもササニシキは現在、あまり栽培されていないからだ。
ササニシキは元々、宮城県で1981年に開発された品種だったのだが、1993年の大冷害でことごとくダメになってしまった。
いもち病に弱いのはコシヒカリと同様だが、冷害に弱いというのがハッキリしてしまった。
そのため、翌年からササニシキの代わりに「ひとめぼれ」という品種が作付けされ始め、全国2位の栽培品種となった。
ひとめぼれは、ササニシキ同様、宮城県の品種なのだが、コシヒカリの遺伝子を引き継いでいるため、一気にシェアを伸ばした。
その一方、ササニシキは作付面積が減り、ほとんど絶滅状態で、作付面積は、1%くらいしかないのが現状だ。
ただ、ササニシキにはササニシキ独特の魅力があり、近年またその評価が高まっている。
というのもコシヒカリ系の米は、ベタベタしすぎていて、加工しにくいからだ。
広告
モチモチした食感のコシヒカリに対し、硬めのササニシキはベタベタしにくく、和食やカレー、炊き込みご飯に合うと言われている。
この違いは、お米のデンプン成分の比率の違いで生まれる。
お米のデンプンには、アミロースとアミロペクチンと呼ばれる2種類の成分があって、品種によってバランスが異なる。
一般的に、アミロースが少ないほど粘りが強くなり、モチモチして、冷めてもあまり味が変わらないという性質を持つ。
一番モチモチしているお米と言えば、モチ米ってことになるが、モチ米は、アミロースがほとんど無くて、アミロペクチンだけのお米だ。
コシヒカリもアミロースが少なめの品種で、モチモチ感が強い。
では、アミロースが少ない品種の方が良いのかというと、そういうわけでもない。
米だけを食べる場合は、もちもちのコシヒカリや、ひとめぼれといった品種の方が好まれるが、寿司とかカレーとか、炒飯といった米を使った料理の場合、ベタベタする米は旨くない。
寿司や炒飯は、ササニシキのような高アミロース米の方が適している。
またお酒を造るための酒米(さかまい)も、アミロースが多い方が良く、酒米として有名な山田錦もアミロースが多い品種だ。
因みに本格的炒飯や沖縄の泡盛に使われるタイ米も、アミロースが多い品種になる。
そういうわけだから、スーパーには並ばなくなったが、ササニシキは生き続け、高級な寿司屋で使われ続けている。
また最近はササニシキの雑種であるササニシキBLや、ササニシキとひとめぼれの交配品種の「ささ結び」も開発され、ササニシキが復権するかもしれない。